高精度化が進む位置情報サービス -取得デバイスを通して見た最近の動向

位置情報サービスを成り立たせている、様々なデバイスとその特徴について見ていきたいと思います。

それぞれのデバイスに特徴や強みがあり、またサービスによっても活用の形が異なります。位置情報サービスで取得できるデータの特徴も、デバイスの違いによって異なるため、その違いをよく認識した上でサービスを設計することが重要になります。

例えば、基地局との交信をもとに位置情報をビッグデータとして、災害時の避難経路やマーケティングなどに応用しているNTTドコモのモバイル空間統計は、全国のドコモのサービスエリアが、統計対象エリアです。365日24時間の人口分布を1時間ごとに把握できるというもので早くから実用化されていますが、このような大量のスマホ端末から人の大きな塊の動きを捉える基地局測位とは異なり、最近は広告配信などを想定して、より精密度の高い細かなエリアでの測位分析も求められるようになってきました。

このために多用されている主な位置情報取得デバイスはGPS、Wi-Fi、Beaconです。「39Geopla」では、このすべてに渡って位置情報を取得できるSDKをご提供していますが、この記事では39Geoplaに限らず、取得手段それぞれの特徴や最近の動向について見ていくことにします。

【GPS-最もポピュラーな位置情報取得手段】

言うまでもなく、GPSはユーザーにとって最も馴染みのあるポピュラーな手段であり、人工衛星を使って現在地情報を測定します。スマホで地図アプリを開き目的地までの経路を調べるというのは、一般のユーザーにとっても日常的に使用する体験でしょう。
その他にも「店舗の周囲500メートル以内にいる自社アプリユーザーに向けてクーポンを配信する」とか、「駅を降りると周辺にあるスーパーのお買い得情報を配信する」などのサービスにはGPSが向いています。端末の緯度経度情報のみであれば、、アプリに特別なライブラリーを導入しなくても標準で取得できるので容易に導入しやすいこともメリットです。


スマホでGPSを許可しているユーザーの数は、他の取得手段に比べて格段に多いのも強みです。

※2018年にLINEが行ったリサーチではGPSに関して「設定や全てのアプリで常時ON」にしている人は16%、「特定のアプリで常時ON」にしている人が30%、「必要な時にON」にする人は35%、「ほとんどONにすることはない」人は13%でした。

一方で、GPSの弱点としては、精度の問題があります。電波は宇宙から飛んで来るため、ビルの乱立する都心部や木々の立ち並ぶ山林、天候などにより、位置を正確に取得できない場合があります。こうした理由から、GPSで判断できる精度は、場所によって異なりますが、現行のスマホではせいぜい数十mから100m単位といったところです。(タクシーなどに搭載されている業務用のカーナビでは既に数m単位の精度とされているものもあります)


この他、電波の発信時刻と受信時刻の差異を利用するという機能のため、もしも端末に誤った時刻が設定されていると精度に悪影響を及ぼす場合があります。
カーナビやスマホなどの「GPSレシーバー」は電波の発信時刻と受信時刻の差から、衛星とレシーバーの距離を算出しています。複数の衛星の位置とGPSレシーバーからの距離がわかれば、レシーバーの位置が計算できますが、GPSレシーバーが使用している時計は、GPS衛星に搭載されている原子時計(数十万年に1秒程度の誤差)ほど高精度ではないので、もし電波の受信時刻が1 マイクロ秒(100万分の1秒)ずれるだけで距離の誤差は300mにもなってしまいます。そのために、時間の精度が非常に重要になってくるわけです。


また、GPSのもう一つの弱点は屋内や地下など、衛星の電波の届きにくい場所では正確に位置を取得できない点です。建物のフロアが重なっているところでは、どのフロアに端末がいるのか判断するのも困難です。このあたりは後述するWi-Fiや、Beaconといった方法がはるかに有利です。

【「みちびき」に期待されるGPS精度の改善】

GPSの精度改善に大きな期待が寄せられているのが、「準天頂衛星システム・みちびき」です。現在4機が打ち上げられており、2023年度をめどに7機体制とする計画ですが、特徴は、測位できる位置精度の格段の高さです。使い方によっては、わずか数cmの誤差で位置を特定できるとされていますが、当初は業務用カーナビや自動車の自動運転システムなどから導入されると思われ、スマホでは機種やOSによって、みちびき対応の時期は異なるとされています。

【Wi-Fi -屋内や地下でも有効・店舗や駅を特定しやすい位置情報取得手段】

GPSに比べてWi-Fiの利点は、まず地下や屋内で強いこと。地下街や駅、デパートや大型ショッピングモールなどで威力を発揮します。Wi-Fiのアクセスポイントが設置されている場所と、ルーターのSSID(Service Set Identifier)、BSSID(Basic Service Set Identifier)の値がわかれば、ネットに接続するためだけではなく、位置情報サービスのポイントとして使うことができます。精度は一般的には電波の届く20m程度の範囲とされています。(建物や車などの反射によってもっと遠くまで電波が届いてしまう場合もあります)
「駅の東口で降りるユーザーだけに情報を届けたい」とか、「お店の3Fフロアだけに限定して時間が来たらお客にpushで情報を配信したい」などのニーズは、GPSよりもむしろWi-Fiを使うことで実現できます。


2020年の東京オリンピックを控えて、特に東京などの大都市ではフリーWi-Fiの設置がかなり細かいメッシュで進行しています。このことからWi-Fiは、網羅性は高いが誤差が大きく地上屋外での活用に限られるGPSを、補完する役割を果たすことが期待されます。また緯度経度のみで位置を測定するGPSと異なり、Wi-Fiの場合にはアクセスポイントの機器がどのような業種の、どのような店舗や建物に設置されているか、サービス事業者が詳細に把握していますので、それぞれの店舗の滞在時間等を測定することも可能になります。


例えばソフトバンクの出資するシナラシステムズジャパン株式会社では、ソフトバンクの持つWi-Fiポイントへのアクセス履歴情報を匿名化して、広告配信に応用していますし、39Geoplaでは全国およそ15万箇所に設置されているdocomoWi-Fiのアクセスポイントを、積極的に位置情報サービスに活用しています。また、無線LANの信号強度を表すRSSI(Received Signal Strength Indicator)を細かく測定することにより、複数のWi-Fiポイントからの距離を推測してスマホの正確な位置を推定することも研究されています。Wi-Fiの電波をどの程度強く受信しているかを知ることによって、買い物客が、すでにお店を出てしまったのか、それともまだ売り場内にとどまっているかという細かな分析が可能になるわけです。

MMD研究所の2017年の調査によれば、公衆無線LANの利用率は69.4%で、10代が84.8%と最も多く、お店やホテルなどの提供する公衆無線LAN利用率は87.8%、キャリアやプロバイダ提供は24.0%となっています。
位置情報取得の手段としてのWi-Fiは一般的にはあまり意識されていませんが、ユーザーサービスの観点からコンビニや公共施設、ホテルなどへのフリーWi-Fiの設置は今後もますます進んでいくことが予想されますので、今後はWi-Fiも位置情報取得の重要なファクターになる可能性があります。

【Beacon-もっとも精度の高い情報を取得できる位置情報取得手段】

Beaconは微弱なBluetoothの電波を発信し、付近のスマホがそれに反応して情報配信サーバと通信することにより、その地点に適した情報を配信することを可能にする機器です。先に見てきたGPSやWi-Fiに比べて格段に優れているのは、非常に細かなメッシュで端末の位置を特定できることであり、近接型の中には数十センチメートルの距離まで近づいて初めて反応する機能を有するものもあります。また最大では数百メートルの距離まで電波を飛ばすこともできます。
顧客の場所を正確に掴むことができるため、ピンポイントのpush広告やメッセージなどを配信するのに適していますが、難点はエリアをカバーするために多くのビーコン機器を必要とすることで、設置運用やメンテナンス、電力の供給に関して、どの企業でも苦労をしてきました。乾電池型のものが一般的ですが、1-2年に1回は電池交換の必要があり、インフラとして町中に大量に設置した場合、この作業だけでもコストと神経を使うものです。
最近では、このような乾電池型以外に、直接電源に接続することで半永久的に電池交換の手間を省くような設置方法も多くなっています。例えば、デジタルサイネージにビーコンを設置することでユーザーのスマホへの広告配信連動を狙う試みや、自動販売機の中に設置することで飲料を購入した顧客にデジタルクーポンを配信するなどのサービスも見られるようになってきました。

株式会社unerryは、約56万個(2018年3月現在)のビーコンが登録されている、日本最大級のビーコンネットワークを中心とした、オフライン行動データプラットフォーム「Beacon Bank」を運営していますが、このネットワークを生かして大手広告代理店の電通と連携してピンポイントの広告配信を行うなどの動きが見られます。独自にビーコンネットワークを運用するよりも、運用に特化しているこうしたビーコンネットワークに相乗りすることで、ビーコンのメリットである、きめ細かな情報配信を効率良く実現しようという試みは今後も広がっていくでしょう。

【今後の位置情報取得手段】

スマホによる位置測位が基地局をベースにした、ビッグデータの解析中心であった時代に比べて、大型ショッピングモール内の人の動きや、駅前ロータリーの商店へのアクセス経路、さらに地下街店舗のレジ周りの滞在時間、そしてきめ細やかなスポット単位の広告配信など、よりきめ細かくユーザーの位置情報や動線を知ることが求められるようになってきています。

その流れのなかで、ネットサービスを提供する手段として街の各所に設置が進んできたWi-Fiのアクセスポイント、そして既存の機器の中に埋め込まれる形で静かに広がっているビーコンネットワークが、位置情報サービスのための重要手段となる可能性を持っているのは大変に興味深いことだと思います。今後はGPS自体の精度も格段に上がっていく可能性はありますが、地下や屋内で衛星からの電波を受信するのは簡単なことではありませんから、その意味でもWi-FiやBeaconは今後も重要な手段であり続けるでしょう。

【参考リンク】

新聞やチラシの購読率は? BluetoothやGPSのON率は? LINEリサーチから見えてきた スマホ市場の変化について/モバイルマーケティング研究所
https://moduleapps.com/mobile-marketing/13372rpt/

ケタ違いの精度、日本版GPS「みちびき」の実力
https://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/17/111500524/121100001/

みちびき対応製品リスト
http://qzss.go.jp/usage/products/list.html

準天頂衛星「みちびき」で、スマホの位置測位はどれだけ精度が高くなる?
https://39geopla.net/blog/?p=1932

公衆無線LAN利用率69.4%、10代利用者が最も多く84.8%、提供元不明の公衆無線LANの利用経験17.5%、「利用への抵抗ない」55.5%/MMD研究所調査
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1685.html

「Beacon Bank」を運営する株式会社unerryが電通と資本業務提携
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000016301.html

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準天頂衛星「みちびき」で、スマホの位置測位はどれだけ精度が高くなる?

【GPSのブレ】

我々がお世話になることも多いGPS。地図を見る時や位置情報ゲームを遊ぶ時などなにかと便利ですが、多少のブレが生じるのが玉に瑕です。

このブレの原因は、
(1)衛星数が少ないことによる誤差
(2)電離圏による誤差
によるものです。

また、従来のGPSはアメリカ所有のものであることなどから、防衛上の理由も含みかねてより日本独自の測位システムの登場が待たれていました。
日本以外でも、ロシアの「GLONASS」、中国の「北斗」、ヨーロッパの「ガリレオ」、インドの「NavIC」など、独自の衛星航法システムが運用されています。

 

【準天頂衛星「みちびき」】

そんな中、日本が準備を進めてきたのが準天頂衛星システム(「QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)」)「みちびき」です。
2018年8月現在では既に1~4号機の4機が打ち上げを完了しており、2023年度をめどに7機体制になる計画です。

準天頂衛星の打ち上げにより、日本上空に常に複数の人工衛星が滞在することになり、位置測位の精度が向上すると言われています。

 

【どこまで位置測位の精度が向上するのか】

ここで気になるのは、一体どこまで我々のスマホの位置測位の精度が向上するのか、という点。我々が現在使用しているスマホは、みちびきからの電波を受信しているのでしょうか?

実はみちびき対応製品リストの中にも取り上げられている通り、iphone 6s以降の機種やGalaxy S8など、かなり多くのスマホがみちびきでの位置測位に対応しているんです。
つまり、一時期噂になっていたように「みちびきが本格稼働すれば、数cmレベルの精度で位置情報を取得できる」……?
みちびきの公式サイトでも「センチメータ級測位補強サービス(CLAS……シーラス)」をうたい、誤差数cmという精度で位置測位ができるとしています。

結論から言うと、「現状のままで我々のスマホが」この恩恵を受けることはできません。

センチメータ級測位補強サービスを利用するには、国土地理院が約1300箇所、約20km間隔で全国に設置した電子基準点(富士山や沖ノ鳥島にもあります)へのシステム対応が必要となります。この電子基準点の絶対位置と衛星での測位値との誤差を算出、補正することで数cmレベルでの位置測位が可能になります。

基本的に我々が所持しているスマホでは、電子基準点を利用する為の「L6信号」に対応していないのです。

数cmレベルでの測位自体は、既に農業や除雪での自動運転などでも利用されています。

 

【どこまで位置測位の精度が向上するのか】

では、スマホでのGPS位置測位については、これまでと何も変わらないのでしょうか?

これもまた違います。みちびき対応製品リストでも示されている通り、比較的新しいスマホであればL1C/A信号に対応しています。

この信号を利用することによって、GPS衛星測位の補強を受けることが可能です。
前述の「衛星数が少ないことによる誤差」は、マルチパス(山やビルによる電波の反射)や人工衛星の低仰角配置によるものですが、みちびきの打ち上げで高仰角に位置する人工衛星が増加することにより、測位の安定性が向上します。

また「電離圏による誤差」についても複数の信号を送受信したり(2周波受信機などが必要)、1周波受信機であっても対象領域を日本に限定したパラメータ補正をすることで精度向上を想定しています。

みちびきサイトでの「[実証] 都市部でのQZ1測位モード比較」でも示されている通り、GPS単体とQZS(みちびきのL1C/A信号)との組み合わせの測位精度の図を見れば一目瞭然、圧倒的な精度の差が生まれています。
ビル群の合間を縫った経路にも関わらず、その測位精度は数m程度の誤差に収まっています。

そもそも、日常生活レベルであれば、cmレベルでの位置測位はほぼ必要でないと言っていいでしょう。

またみちびきでは、災害時における避難所情報を収集する【衛星安否確認サービス「Q-ANPI」】や、地震や津波、テロなどの危機管理情報、避難勧告などの発令状況をみちびきから送信する【災害・危機管理通報サービス「災危通報」】などがサービスとして想定されています。

みちびきは2018年度から正式サービス開始予定とされています。
みちびきが7機体制となり、より我々の生活が便利になることに期待しましょう。

 

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下北沢 キになる店舗スタンプラリー

4月より、アプリ「コレビースタンプ」を使って参加する「下北沢 キになる店舗スタンプラリー」が開催中!

コレビースタンプのスタンプ取得機能には、39Geoplaの位置情報サービスが使われています。

アプリをダウンロードして、再開発の進む下北沢の街に繰り出しましょう。

スタンプは全部で5つ。お散歩がてらチャレンジするのもオススメ

【下北沢 キになる店舗スタンプラリー】

東京下北沢駅周辺の、一風変わった「キになる」お店を巡るスタンプラリー。なかなかお目にかかることのできない個性的なお店で楽しみながらスタンプを集めることができます。

参加しているのは(4月13日現在)、

古着とボードゲームという不思議な組合わせで新たな魅力を発信する、
・古着とリメイクとボードゲーム どーん!!ズ

劇場でしか手に入らない演劇グッズの専門店、
・観劇三昧(水曜定休)

世界のボードゲームがズラリ、初めてのゲームも説明してもらえる、
・JELLY JELLY CAFE 下北沢店

世界で一足だけの完全ハンドメイドスニーカーが貴方を待つ、
・Ripery’s Sugar(火曜定休)

上記に加えて、下北沢駅に近づいた際に取得できるスタンプと合わせ、5個のスタンプを集めると、素敵なプレゼントを獲得できます!

どの店舗もオリジナルの魅力に満ち、下北沢らしさが溢れているので、覗いてみるだけでも濃密な時間を過ごせるはずです。

店舗を周るだけなら20分程度でコンプリートが可能です。

【参加方法】
スマートフォンにコレビースタンプをインストール。
コレビースタンプを起動したら、「下北沢 キになる店舗スタプラリー」を選んで参加ボタンを押します。お店を周ってスタンプを集めてください。

各お店の地図や情報もアプリ内でご覧いただけます。
(位置情報利用の許諾をし、bluetoothをONにしてください)

【プレゼント引き換え店舗】
コンプリートしたら、「古着とリメイクとボードゲーム“どーん!!ズ”」でクーポンをご提示いただき、下記の中からどちらかの特典をお選び下さい。
・古着割引券(2000円分)
・ボードゲーム「ギリギリカレー」半額(1000円)購入権
クーポンの使用は一度のみです。
店舗のスタッフがクーポン使用のボタンをタップさせていただきます。

【開催期間】
2018年4月11日(水)〜7月1日(日)

コレビースタンプをインストールして、今すぐ下北沢にGo!

【イベントの詳細はこちらをご覧ください!】

 

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位置情報+自動撮影で、スキー場の遭難防止サービスが新しい楽しみを提案!

前々回の「雪山の安全を電波で守る ビーコンと位置情報を活用したサービスに期待」でご紹介した、山岳地帯で位置情報をリアルタイムに把握できるサービス「TREK TRACK」。2018年2月、北海道・ニセコモイワスキー場で、自動写真撮影サービスと位置情報可視化を活用したおもてなしサービス体験イベントが実施されました。

おさらい:TREK TRACKってどんなサービス?

TREK TRACKは、専用デバイスによって、携帯電話の圏外でも位置情報をリアルタイムに把握できるサービスです。デバイスがGPSで取得した位置情報を、山小屋などに設置したLPWAゲートウェイを通じて収集し、サーバーに集約します。LPWAは、通信速度が遅くても低消費電力で通信距離が長いのが特徴なので、少ない基地局数で広いエリアをカバーできます。サーバーに集約した位置情報はウェブサイトや専用アプリで確認できるので、家族や山岳管理者がリアルタイムに位置を把握できます。

TREK TRACKの概要(報道発表資料より)

 

デバイスには「HELP」ボタンがついており、緊急時に押すことでTREK TRACK事務局に緊急信号を送信できます。信号を確認した事務局では、1時間以内にあらかじめ登録された家族や知人などの緊急連絡先に連絡します。

TREK TRACKのデバイス(報道発表資料より)

2017年夏シーズンに山梨県の瑞牆山(みずがきやま)で登山者向けのサービスを提供。冬シーズンは、新潟県かぐらスキー場のバックカントリーエリア(スキー場管理区域外)向けのサービスを開始しました。他、ニセコモイワ(北海道)、ニセコグラン・ヒラフ(北海道)、ニセコアンヌプリ(北海道)、キロロリゾート(北海道)、白馬八方尾根、白馬岩岳の6カ所で実証実験を行っています。

スキーヤーごとに軌跡を可視化

2018年2月10日から3月11日まで実証実験が行われたニセコモイワ、ニセコアンヌプリ、ニセコグラン・ヒラフを含むニセコリゾートは、世界的に見ても珍しい、人里から近い場所でパウダースノーが楽しめるスキー場です。海外のスキーヤーやスノーボーダーも毎年数多く訪れ、最高の雪質を楽しんでいます。

実証実験では、スキー場を訪れるスキーヤーにTREK TRACKの端末を貸し出し、位置情報を記録しました。スマホアプリやウェブサイトで3D地図上に現在地を表示したり、自分が滑走した軌跡を後で3D地図上で確認することができます。SNSでシェアすることも可能です。位置情報を収集するLPWAゲートウェイは、これらの3スキー場と近くのニセコ五色温泉旅館の計4か所に設置しました。

実証実験期間中には、およそ500名ほどが実際に端末を持って、位置情報を記録しながら滑走を行いました。記録を見ると、人によって軌跡がかなり異なっていることが分かります。

スキーヤーごとに、実際に滑った軌跡を可視化する(画像提供:TREK TRACK)

ニセコリゾートは、ゲレンデ外に出て人の手が入らない自然を楽しむ、バックカントリースキーを楽しむスキーヤーが多いエリアです。バックカントリーでは、誰もまだ足跡を付けていない新雪を思う存分楽しむことができますが、ひとたび遭難が起きれば、捜索が大変困難になります。

もちろんそうした時にはTREK TRACKが威力を発揮するわけですが、平常時にもスキーヤーやスノーボーダーの軌跡を記録しておくことで、人が行きやすい場所をデータとして蓄積でき、遭難発生時の捜索や、平常時の情報提供に役立ちます。

スマホの前を通ると写真を撮ってくれる「capture」

実証実験期間中の2月23日から25日、博報堂アイ・スタジオとNTT東日本が開発した自動撮影システム「capture」の実証実験が行われました。capture は、専用アプリをインストールしたスマートフォンの前を人が通ると、写真を自動撮影するシステムです。撮影した写真はNTT東日本が提供するクラウドサービスにアップロードされ、来訪者はロッジに設置されたサイネージで閲覧できます。閲覧した写真は、自分のスマートフォンにダウンロードできます。

自動撮影システム「capture」の仕組み(報道発表資料より)

captureは機械学習により特殊な機器を使わず高速に人物を検出して撮影するのが特徴です。従来であれば滑走中の写真を撮影するためには専門のカメラマンが依頼を受けて撮影ポイントに赴く必要がありましたが、自動撮影で手軽に滑走中の写真を撮影し、入手できます。

今回の実証実験では、あらかじめスキーヤーに撮影ポイントを伝えておき、前を通った人の写真を撮影しました。希望者には撮影した写真をプリントして渡し、希望者はQRコードで自分のスマホにダウンロードできるようにしていました。ニセコモイワスキー場では、およそ300人のスキーヤーが実験に参加。多くの人が、その場で自分の写真をダウンロードしていたそうです。

当日撮影された写真。(画像提供:TREK TRACK)

実証実験を行った博報堂アイ・スタジオ TREK TRACK推進室室長の川崎 順平氏によれば、「こんな写真が買えるなら買って帰りたい」というお客様も多く、「写真販売はスキー場の新たな収益源になる可能性がある」と感じたそうです。多いスキー場では年間30万人ほどの来場客があるそうですから、決して小さな額ではありません。

ちなみに、利用者が増えたら自分の写真を探すのが大変なのでは?と聞いてみたところ、今回は実証実験だったのでそこまでの作りこみはしていなかったが、ゆくゆくはタッチパネルを利用して撮影ポイントと時間帯で検索して写真を探せるようなインターフェイスを考えているとのことでした。「顔認証で自分の写真が検索できたら面白そうですよね」と言ってみたら、「滑っている時はゴーグルやヘッドマスクがあるので、画像認識を使うとしたらウェアの画像を基にした近似検索ではないでしょうか」とのこと。それは確かにそうですね。

スキー場の場外に出ていくお客様を撮影しておくことで、万一の時の安全管理に使えるというアイデアもあるそうです。無人で撮影できるので、ソーラーパネルと蓄電池と組み合わせれば、バックカントリーエリアにもある程度の期間無人で動作させられる撮影ポイントが設けられるのではないでしょうか。スキーヤーにも撮影ポイントを知らせておけば、自分が滑っている姿を撮影したい人はその場所を通ることになります。スキーヤーを楽しませながら、同時に危険な場所を避けるようにさりげなく誘導する効果も期待できるかもしれないと感じました。

位置情報+写真で新たな可能性

今回の実験では、captureとTREK TRACKは別々のシステムとして提供されてましたが、将来は連動したサービスも展開していきたいとのことでした。設置した撮影ポイントをTREK TRACKアプリのマップ上に表示したり、TREK TRACKの軌跡と連動して撮影した写真を表示したりできると、楽しそうです。

captureの撮影ポイントとジオフェンスを組み合わせたサービスも面白いかもしれません。撮影ポイントから数百メートル以内に入ったら「まもなく撮影ポイント」なんてバイブレーションで知らせてもらえると、ポーズも決めやすくなりそうです。

来シーズンの予定をうかがったところ、TREK TRACKは商用サービス化に向け、北海道、岩手県、白馬エリアなどのスキー場運営母体企業などと協力に向け交渉中だとのことです。また、Captureについては、既にインフラや落石監視、バックカントリーでの見守りなどで引き合いが来ており、これから具体的なことを詰めながら商用サービスを目指すとのことでした。

「雪山+位置情報」というと、遭難安全管理のためのインフラとしてとらえられがちですが、それに写真を付加することで、スキーヤーには新たな楽しみ方として、スキー場には新たな収益源として活用できるサービスになると感じました。

写真提供:TREK TRACK

【参照情報】
TREK TRACK:山の中での人の位置情報をリアルタイムに取得。技術でアウトドアに革新を。
自動撮影と位置情報の可視化で『インスタ映え』をお手伝い!  ~スノーリゾートにおける、新たなおもてなしサービスの提供に向けたトライアル~(報道発表資料)
IoTデバイスで未来のアウトドアインフラを作るサービス『TREK TRACK(トレック トラック)』2018年1月11日(木)よりバックカントリーエリアでのサービス開始(報道発表資料)
長距離無線通信技術 [LPWA] をユーザー向けに初導入*¹ IoTデバイスを活用したアウトドアインフラ 『TREK TRACK(トレック トラック)』2017年9月1日(金)よりサービス開始 – 第一弾として奥秩父瑞牆山(みずがきやま)にて導入 サービス予約の受付を8月18日(金)より開始、8月20日(日)無料体験イベントを実施 (報道発表資料)
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