位置情報を利用した『バレーパーキング』

2018年12月12日、UDトラックスが国内では初となるレベル4自動運転機能を搭載した、大型トラックの走行デモを行いました。

レベル4の自動運転とは、『特定の場所において、運転システムが全てを操作』することを指しています。高速道路や特定施設、倉庫、鉱山、採石場など限られた条件で実質的な無人運転が可能なのがレベル4です。

UDトラックスの走行デモでは車庫のようなスポットへのバックでの進入、8の字走行などが行われました。バックの車庫入れにおいてはステアリング操作は1回のみ、停止位置もスポットの中央におさまるあたりは、自動運転ならではの挙動と言えるでしょう。

自動運転はUberが初の死亡事故を起こすなど期待と不安が入り混じった新技術ですが、我々が始めて享受する恩恵は駐車場からスタートするのかもしれません。
国内外で自動バレーパーキング技術の開発が進められており、実現に向けて急ピッチで研究が進んでいるからです。

【自動バレーパーキングとは?】

バレーパーキング(valet parking)とは、車両の入出庫の際に係員が駐車作業を行うサービスです。ホテルに自家用車で乗り付けて、ボーイさんに鍵をつけたまま車を引き渡すとそのまま預かってくれるのが、我々のよく目にするバレーパーキングのシーンですね。

そこに自動運転の技術を組み合わせ、無人/自動化したものが自動バレーパーキング。

駐車場にたどり着いたら、スマホアプリのボタンをクリック。車を降りたら、車が自走して駐車。空車スペースを探し出す手間も、スペースの中央に停める為の余計な切り替えしも一切無し。勿論、うっかりミスで車をコツン……というリスクもほぼゼロ。

ドライバーの乗降スペースも不要になるので、ドアの開閉分の省スペース化を図ることができ、パーキングエリアを最大限に利用することができます。また、システムが車両や駐車エリアを監視・管理することで効率的な車両循環を実現でき、混雑緩和にも繋がるでしょう。

ちなみに、現在でもドライバーが車外から操作可能なリモートパーキング機能を備えた車両が販売されています。
これは、自動運転レベルでいえば2に相当する機能です。何らかのトラブルが発生した際、責任の所在はドライバーにあります。
これに対し、自動運転レベル4にあたる自動バレーパーキングでは、システム側に責任があるのが大きな違いです。

【自動バレーパーキングの仕組みは?】

主な仕組みとしては、
・車両の位置情報や駐車スペースを管理する管制センター
・車両の入出庫をリクエストするための端末
・管制センターからの指示に従い、自動走行/駐車する車両制御技術
から構成されます。

実際には、指定されている乗降場所で車両を停めて降車。端末から駐車をリクエストを出し、管制センターが走行経路や駐車場所を指定して車両に配信。通信内容に従い車両は自動走行/駐車。出庫の際も同様で、スマートフォンなどで出庫を依頼すると、管制センターの指示を受けた車両が乗降場所まで自動走行し停車する。

入出庫リクエストの発信は、駐車場に備え付けられたパネルでの操作や、システムと連動したスマートフォンアプリなどの利用が想定されます。

管制センターと入出庫する車両、スマートフォンなどの端末はLTEやWi-Fiで通信し、管制センターと車両は数秒おきに通信して情報を更新します。

屋内の自動バレーパーキングではGPSを受信しにくい為、柱や白線などにマーカーを設けてセンサーが位置情報を認識できるようにすることが必要でしょう。

クラウドで連携すれば、目の前の自動バレー駐車場が満車だった時に、近傍の自動バレー駐車場を案内/予約する、といったサービスも実現できそうです。

今後は管制センターの運営や、通信時のセキュリティ対策が課題になると想定されています。

【自動バレーパーキングの機能実証実験】

日本自動車研究所(JARI)は2018年11月14日~15日、自動バレーパーキング機能の実証実験を東京都港区台場で開催しました。

当日使用した実験車両は3台。
専用駐車場にて、
・ドライバーがスマホで入庫を発信。
・管制センターから経路や駐車スペース、駐車場内の位置情報を配信。
・車両が自動走行し、駐車を完了する
という流れで実験を行いました。

出庫の際も、リクエストを受けた3台の車両が管制センターで確定した順序に従い、散らばった駐車スペースから自動運転で出庫。乗車場所に一列に並んで停車しました。
緊急時を想定し、管制センターからの指示で全車両が一斉にブレーキをかけて停止するシーンも設定。

3台の実験車両は、異なる企業が開発した制御ソフトウェアで駐車場内で自動運転を行いましたが、車両の位置情報や車両ステータスのデータ、管制センターから車両に配信する指示は統一した形式を使用しました。

当日は安全面を考慮し、車両にはスタッフが乗車し、時速3km程度で実験が行われました。最終的には、無人運転であることは勿論、時速10km程度での運用を目指しているそうです。

【参考リンク】

レベル4大型自動運転トラック『Fujin』デビュー…UDトラックス
https://response.jp/article/2018/12/12/317120.html

自動運転が起こした衝撃の死亡事故、未来はまだやって来ないのか
https://www.mag2.com/p/news/355331

BRT路線で自動運転バスの実証実験 JR東日本やソフトバンクなど参加
https://jidounten-lab.com/w_brt-autonomous-bus-jr-softbank

自動バレーパーキング機能実証実験開催のお知らせ
http://www.jari.or.jp/tabid/637/Default.aspx

 

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