「みちびき」4機体制に向けて発進!衛星測位の精度向上で便利になる防災アプリ

2017年6月1日、準天頂衛星「みちびき」2号機の打ち上げが行われ、成功しました。以前39Geoplaのブログでも紹介した通り、「みちびき」は2017年度中に4号機までが打ち上げられ、2018年度からは4機体制での運用開始が予定されています。

4機の準天頂衛星のうち、3号機は赤道上空の静止軌道、1、2、4号機は24時間のうち日本の上空8時間とどまる「準天頂軌道」という特殊な軌道をとります。3機の準天頂軌道を回る衛星が交互に日本の上空に来るため、24時間いつでも、日本のどこからでも高い高度に「みちびき」が見えることになります。これにより、GPS衛星と合わせて安定した高精度測位が24時間いつでも可能になります。

GPSによる位置情報測位の主要な利用分野として「防災」があり、さまざまなアプリやサービスが提供されていますが、「みちびき」により精度が上がることで、これらについてもより有用性が増すことが期待されています。

ARで災害時の被害を可視化

「ARハザードスコープ」は、自分が今いる場所周辺の、地震発生時の津波の高さや建物の倒壊危険度をARで視覚化してくれます。地震が来たら周辺のどの建物の何階まで逃げれば安全なのか、を目で見て確認できます。このようなARコンテンツでは、位置がずれてしまうと情報が正確に伝わりませんが、「みちびき」で位置精度が上がることにより、被害状況が正確に分かるようになります。

ARハザードスコープ(株式会社キャドセンター 報道発表資料より)

津波の高さを正確に検知

GPSは緯度経度だけでなく高さも測定できます。国土交通省は「GPS海洋観測ブイ」(沖合に浮かべた高精度GPSブイ)で海面の高さを観測することで、地震発生の津波や台風時の高潮などが陸に届く前にいち早くキャッチし、被害を軽減します。東日本大震災時には、津波の第1波から検知し、波高の情報をリアルタイムで気象庁に伝えたそうです。この情報を元に、津波警報のレベルが格上げされました。

GPS海洋観測ブイ(日立造船株式会社 報道発表資料より)

安否確認や救助にもみちびきは役立つ!

災害時に一番気がかりなのは、家族や職場の無事です。地震発生時に安否情報を確認するためのアプリをいくつかご紹介しましょう。

「Familoca」(ふぁみろか)は、家族全員がスマートフォンにインストールして使用するアプリです。現在位置情報を定期的にサーバーに送信しておき、緊急地震速報発令時には場所を家族のアプリに送信します。これにより、家族はお互い、現在いる場所を知ることができます。

定型文を利用したメッセージ送信や手動による位置情報送信にも対応しています。「非常」ボタンを利用して、ワンタップで現在位置を送信することができます。「みちびき」で位置情報が正確になれば、駆けつけや救助に大いに役立つはずです。

「Familoca」の画面(株式会社つなぐネットコミュニケーションズ 報道発表資料より)

地震発生時に、従業員の位置情報を把握し、安否確認を迅速に行うのが、「ココダヨBiz」です。危機管理担当者は全社員、部門管理者は担当部門内の社員の位置を地図上で確認でき、社員の安否応答により表示の色分けや、集計数値をリアルタイムで確認できます。

また、地図上から社員を選択して、参集や指示を通知することができる、企業向けならではの機能も実装されています。

「ココダヨ」Biz 画面イメージ(株式会社ゼネティック 報道発表資料より)

どこに避難する?避難所の場所を確認できるアプリ

自宅や勤務先、学校など、普段出かける場所の近くの避難所は分かっても、旅行先や出張先などで被災した時どこに避難すれば良いのか、とっさには分かりません。

日本気象協会とファーストメディアが運営する「全国避難所ガイド」は、現在地の位置情報に基づき、最寄りの避難所を検索し、地図情報をキャッシュ。ARコンパスで避難所の方向が示されるので、初めての場所でもたどり着くことができます。地震発生後、通信回線が使えなくなっても、キャッシュした情報でとにかく最寄りの避難所までの地図は表示できます。全国10万か所の避難所情報に対応しています。

「全国避難所ガイド」画面イメージ(日本気象協会 報道発表資料より)

また、Googleパーソンファインダーに連動した安否情報登録と検索やJ-anpi、災害用伝言版(Web171)の検索、ツイッターによるライフライン情報の表示などにも対応しており、災害時にあると心強そうなアプリです。

衛星測位は地震発生時も「精度が変わらない」のが強み

ところで「全国避難所ガイド」の目玉になっている「ARコンパスによる避難所の方角表示」ですが、さらに加えてジオフェンスで誘導できるとより安心そうです。大地震では、ビーコンや基地局測位など、地上設備の動作が完全とは限りませんが、衛星なら地震の影響を受けることはありません。「避難所に近づいている」ということがプッシュ通知で届けば、パニックになりがちな心も静まりそうです。

避難所の位置情報は自治体などがオープンデータとして提供していますので、こうした情報を活用して安心・安全につながるようなサービスが開発できそうですね。

 

【参照情報】

防災アプリ「ARハザードスコープ」
GPS海上観測
Familoca
「ココダヨ」Biz
防災情報 全国避難所ガイド
オープンデータカタログ(OpenGovLab)

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