位置情報管理サービスからブランド情報管理サービスに―Yextが成長した理由

2017年7月、日本に上陸したYext。米国ではFedexやUberも利用している「位置情報管理サービス」の会社だと報じたメディアが多かったのですが、実はそれだけではありません。位置情報の可能性を広げるサービスだと感じたので、ご紹介します。

検索のされ方が変化している

2006年、Yextの創業時に提供していたのは、地図の上に顧客のビジネスを表示するサービスでした。しかし、検索エンジンだけでなくSNSや口コミサイト、カーナビ、音声入力など、ユーザーが情報を探すための入り口がどんどん増えてきました。

企業が自社の所在地やサービスの内容、営業時間、ブランドメッセージなどの情報をウェブサイトに掲載するのは当然です。しかし、自社の情報は自社サイト以外の場所にもあふれています。

例えば、Google検索で会社の名前を入力すると、キーワード検索に基づくリストだけでなく、検索結果として位置情報に基づく最寄りの店舗情報が表示されます。ソーシャルメディアのレビューやブログの記事などの外部サイトにも自社の情報はあふれており、検索エンジンではそれら外部サイトの情報が自社サイトの情報よりも上位に表示されることは珍しくないし、外部サイトの情報は自社サイトの情報の2.7倍見られているという調査結果もあります。

ここで問題になるのが、外部サイトの情報の正確性です。自社サイトの情報は正しくコントロールできますが、外部サイトに掲載されている情報を常に正しく保つことは困難です。店の住所が古かったり、営業時間が変更になっていたりすると、それは機会損失に直結します。自社の情報が自社サイト以外の場所に拡散することは、良いことでもあり、リスクでもあるのです。

サイトを横断して情報を正しく保つ

このような背景の元、Yextは位置情報管理サービスから企業とさまざまなサイトの間をつなぎ、インターネット上で提供される自社に関する情報を管理するサービスへと成長しました。

Yextでは情報を提供するサービスを「データ・パブリッシャー(以下パブリッシャー)」と呼んでいます。検索エンジンやSNSや口コミサイトなどのコンテンツを提供するサイトだけでなく、SiriやGoogle Homeのような音声検索を使うインテリジェント・サービスも含まれます。

Yextが用意した大きなデータベースに企業が自社に関するさまざまな情報を登録すると、Yextはその情報をパブリッシャーに伝達し、パブリッシャーが提供する情報を更新します。古かったり、誤った情報が登録されていたり、多重登録されている情報は訂正し、一つにまとめます。また、外部サイトに掲載されている口コミ情報なども把握でき、リアクションを返すこともできます(海外では大変評判がよく、多くの企業で活用されている機能だそうです)。

情報の更新は、Yextが用意するウェブインターフェイスからも、API連携により社内システムを利用することも簡単です。企業内部の業務システムに登録された住所などの情報をそのまま連携できるので、わざわざ外部に公開するために仕事を増やす必要はありません。また、SEO対策により検索エンジンの上位にインデックスされやすい構造のページや、多言語対応を提供するオプションも用意されています。

100以上のサービスがYextの情報を提供

どんなことができるのかを、例を挙げて説明しましょう。お店の営業時間を変更したら、Yextのデータベースを書き換えるだけで、自店のサイトだけでなくFacebookページの店舗情報も、ローカルコミュニティのFacebookグループの情報も、GoogleMapに表示される店舗の営業時間も、Googleマップの店舗情報も、カーナビに表示される地図の情報も、Siriの応答も、即座に更新されるのです。ハロウィン用特別メニューも、写真をYextにアップしたら、すべての外部サイトに反映されます。

結果的に、検索結果として表示されるさまざまなサイトに掲載される情報を、常に最新で正確に保つことができるのです。パブリッシャーから見ても、Yextを利用することで、自分で情報のメンテナンスをする必要がなく、常に最新情報を提供できるメリットがあります。パブリッシャーがYextに接続するための費用はかからず、Google、Facebookをはじめ、100以上のパブリッシャーがYextとデータを連携しています。

ユーザーには見えない仕組みで新しいサービスを可能に

とはいえ、Yextのサービスの鍵になるのは位置情報であることは間違いありません。人が行動する時、「場所」を切り離すことはできません。情報を検索した人がYextの存在を意識することはありませんが、さまざまなサービスで、正しい位置情報と一緒に正しい情報が表示される、その仕組みを支えているのです。

2017年夏、日本進出を発表したYextは、現在国内パブリッシャーおよび新規顧客の開拓を進めています。Yext経由で情報を提供したい企業の利用価格は最も安いパッケージの場合1店舗あたり月額1200円程度と、小規模なお店でも利用しやすい金額を想定しているそうです。

Yextと39Geoplaがもし連携すると、キャンペーン情報や新商品情報などのきめ細かくタイムリーな情報の配信が、より手軽にできそうです。また、SNSや口コミサイトの情報と連動して店の近くまで来た人に情報をプッシュする仕組みなど、新しいサービスも考えられそうです。

<参照情報>
Yext

画像提供:株式会社Yext(イエクスト)

 

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