様々な料金体系「pay per ???」

この記事を3行で説明すると……

  • 料金体系の見直しがイノベーションのきっかけになるかも?
  • 走ったぶんだけ 「pay per mile」
  • ひと笑いの値段は? 「pay per laugh」

【pay per mile】

前回のブログ記事で触れたイーグルバスの事例の中で、コスト管理を「1台」「1本(運行本数)」から、「1分」や「1km」といった単位に変更した例をお話ししました。
これにより、同一路線内でも「A~B区間は赤字」というように問題をより詳細に顕在化することができるわけです。

【pay per mile:他の事例】

上記のイーグルバスの事例では必要なコストを時間や距離あたりでとらえなおしたわけですが、距離そのものを顧客向けの料金単位として打ち出している企業に、フランスのタイヤメーカーミシュランがあります。

マスコットキャラ(?)ミシュランマンのイメージ通り、タイヤ事業者であるミシュランはタイヤの販売がメインの事業でした。

しかし「マイレージ・チャージプログラム」は、タイヤという製品ではなく、「Pay Per Mile(日本の場合、厳密にはkm毎ですが)」というサービスを提供する料金体系となりました。

この事業者トラック・バスタイヤのリースサービスでは、利用者は実際の走行距離に応じた料金に合わせてタイヤのリース費を支払います。
費用にはタイヤ・メンテナンス・廃棄タイヤ処理費用などが含まれており、タイヤリースのみならず、メンテナンスや廃棄タイヤの処理といった業務もまとめて引き受けることもできます。

顧客側としても「走行した距離」という実績に対して料金が発生する為、必要以上の出費を強いられません。

pay per mile自体は、日本の自動車保険でも見られます。昨年の走行距離から料金を算出するのですが、段階を踏んだ料金体系(例.Akm以下ならX円、Akm~BkmならY円)になっている為、区分をギリギリ超えて走行してしまうと勿体無い気になってしまうんですよね。

米国のMetromile社では、2016年から走行距離1マイルごとに料金を計算する、まさに「pay per mile」な保険がスタートしました。
専用端末が自動的に走行距離を計測してくれるので、余計な手間もかかりません。
この端末は広い駐車場で自分の車の位置を参照できたり、過去に出かけた際の走行時間や経路などの情報も取得することができます(スマホと連動)。

【pay per laugh】

変わった事例が飛び出しのは、バルセロナにあるコメディ劇場「TeatreNeu」での2013年のケース。
スペインは財政赤字削減を目的に「付加価値税」の税率大幅引き上げを決定した時のこと。娯楽性の高い、映画館や劇場などのチケットに対する税率はそれまでの8%から21%に(!)引き上げられました。
自然と客足は遠のき、売り上げ減少の苦境に立たされることに。

この苦境の中、ユニークな料金体系が生まれました。
舞台への入場料は無料とし、その代わりに「ひと笑いに対し0.3ユーロ(約40円)」という料金システムを導入したのです。
座席には一台ずつ顔認識システムを設置し、笑った回数をカウント。笑った分にだけ料金がかかるので、観客としても支払いに対し納得感が生まれます。

無制限に課金されるのではなく、どれだけ笑っても最大24ユーロ(約3200円)に収めてくれるのも嬉しいところ。
「100笑い」、「200笑い」などのように、プリペイドチケットを購入することもできます。

更に、劇場を出た後で自分の「笑いの履歴」を振り返ることもでき、その様子をSNSで拡散することも可能。データを取ることで演者側も笑いのタイミング、盛り上がりの程を知ることができます。これからはお笑いにもIoTの波が押し寄せるのかも?

様々な施策が功を奏し、観客数も35%増を記録。同様のシステムを取り入れる劇場も現れたそうです。

【pay per view】

日本でも、衛星放送やCATV等で馴染み深い形態です。視聴する1番組毎に課金されます。

2015年にアメリカのHBOが販売したボクシングのフロイド・メイウェザー・ジュニア対マニー・パッキャオ戦のpay per view放送は、単一のボクシングの試合ではアメリカ国内過去最高の440万件を記録、売り上げは4億ドルに達したと公表されました。

インターネットサイトでも表示した回数に応じて報酬が発生するPPV広告が広く採用されていましたが、最近ではクリック毎の報酬(pay per click)やアフィリエイト型の広告スタイルが主流になってきています。

【その他のpay per ~】

地下鉄の一日乗車券なら「pay per day」、TVドラマの過去作一気見であれば「pay per series」、DVDレンタルなら「pay per transaction」と、我々の生活は非常に多くの「pay per ~」で囲まれています。

サービスを利用する側にしろ、新しいサービスを生み出す側にしろ、賢い料金体系を利用したいものですね。

 

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